カジュアルでモード、スポーティでシック、エスニックでモダン......など、相反する要素を絶妙にミックスしたリアルクローズで、自分らしいこ だわりを大切にする世界中の女性たちに絶大な支持を得ているイザベル マラン。そんな大人気ブランドの日本初の路面店が8月4日、表参道にオープンする。表参道から細い小道を1本入った場所にあるショップは、遠目から見ても すぐにわかる、ハッピー&ポジティブなイエローの外観が印象的だ。
ショップオープンを記念して、デザイナーのイザベル・マランが10年ぶりに来日。終始リラックスしたナチュラルな笑顔で、「ショップには大満足」と語る彼女に、ショップやブランドについて話を聞いた。
▶イザベル・マラン(Isabel Marant)
1994年にウエアとアクセサ リーのブランド、イザベル マランをスタート。2003年にセカンドラインのエトワール イザベル マランを開始。2006年香港に海外初のショップをオープン。2010年にNYとスペイン・マドリッドに、2011年に北京とレバノン・ベイルートに ショップをオープン。2012年には東京を皮切りに、4店舗目となるパリ、ロンドン、LA、ソウル、香港と出店が続く。現在、全世界に670もの取扱店が ある。
「私のクリエイションにおいて、"コントラスト"は大切なコンセプト」
----ショップのロケーションに表参道を選んだ理由は?
イザベル・マラン(以下I):「ショップをオープンするにあたって、場所はすごく重要でした。モードなエリアなんだけど、メインストリートではなく、知る人ぞ知る隠れ家のような雰囲気が出せる場所にこだわりました」
----ショップデザインについて教えてください。
I: 「元々あった建物を見ているうちに、自然とアイデアが沸いてきました。外観のイエローは、イエローに塗られていた元の建物の外観が気に入って、 そのままの色を生かしました。ウッディな内装は、木造建築を解体しているときに木の枠組みが現れてきて、それがすごく素敵だったので、これもそのまま残そ う思って。この木材がより映えるよう、相反するモダンな素材を組み合わせました。モダンなものと伝統的なものの組み合わせなど、"コントラスト"は私のク リエイションにおいて大切なコンセプトです」
----内装には"日本"を連想させるディテールも使われていますね。
I: 「世界中のショップそれぞれに、"そのエリアらしさ"を表現できるアイデアを取り入れています。日本の伝統家屋は大好きで、今回、照明には障子 にインスパイアされた素材を使い、フィッティングルームには畳を敷きました。ヨーロッパ人の視点からみたジャポニズム的なイメージですね。全体的にはモダ ンでミニマルですが、ゆったりとくつろげる空間作りを意識しました。例えば、友人をお迎えする自宅のような、そんなリラックスした空間。グリーンも大好き なので、ショップの周りにはグリーンもたくさん植えています。日本でいう"風水"的なアイデアも取り入れていますよ」
----プライベートなご自宅にも日本のものは置いていますか?
I:「イサムノグチの大ファンで、自宅には彼のランプがたくさんあります」
----ショップの入り口にディスプレイされたアート作品もユニークですね。
I: 「全世界のショップのウィンドウディスプレイを手掛けているフランス人アーティストによるものです。彼は日用品を使ったアート作品が得意で、今 回使われたのは、なんと、スーパーに売られているエスカルゴ用のアルミのお皿なんです。ディスプレイは、3ヶ月に1回くらい変える予定なので、お楽しみ に」
イエローが映えるショップの外観と、和のテイストも施された内観。
----今シーズンの秋冬コレクションについて教えてください。
I:「10代の頃から持っているカウガールの本にヒントを得ました。まだ保守的な時代背景の中、その時代に挑むようなカウガールの姿に感銘を受けた、お気に入りの本です」
2012-13秋冬コレクションのルック。
----得意のハンドクラフトテクニックも随所に見られましたね。
I: 「デザイナーになったきっかけは、職人の技術を見るのが好きだったから。それくらい、私のコレクションにとって、職人による手仕事は重要です。 貴重な職人の伝統技術が失われようとしている今こそ、大切にしていきたいと思っています。例えば、今回の秋冬コレクションで使ったレースは、フランスのと ある小さな工房で働く年配の職人にしか作れないもの。その技術を守るため、年に1回は必ずその工房に仕事を依頼しています。そんな風にして、世界中の様々 な伝統技術をコレクションの中に取り入れているんです。モードは、人間があってこその産業ですからね」
----デザイナーとして忙しい毎日を送る中、プライベートとのバランスをどのように両立していますか?
I: 「ウィークデイは徹底的に仕事をして、週末は完全にオフ。家族や友人たちと、電気も水も通っていない森の中の別荘で過ごします。庭いじりをした り、BBQをしたり、自然のままの素朴な生活ですね。元気いっぱいな9歳の息子と、庭で一緒に思い切り遊んだり......。ファッションの仕事はある意 味表面的なところがあるので、地に足をつけて現実的な考えに戻るため、自然の中で過ごす時間がとても大切なんです」
----最後に、イザベル マランはウィメンズコレクションですが、密かにメンズのファンも多いと思います。将来的にメンズを手掛ける可能性はありますか?
I: 「メンズは前からすごくやりたいと思っています。ただやるからには、最初から最後まで魂を込めてやりたいので、正直今、メンズを手掛ける余裕が ないのがとても残念です。将来的には、10点くらいの小さなコレクションからスタートできれば......と考えています。とはいえ、ウィメンズラインの 中にも日本の男性に合うデザインはたくさんあると思うので、ぜひトライしてもらいたいですね」
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